2010年 10月 28日
人体解剖実習 1昨日、パリ・デカルト大学(パリ第5大学)で解剖実習に参加した。

今回は、私にとって初めての解剖実習。人間の身体を解剖するとい
行為に、多少の恐怖もあり、直視できるか、冷静でいられるかなどの
不安を抱えて臨んだ。周囲の人は、毎年何人か失神するとか、薬品の
刺激臭に気分が悪くなるなどの体験談を語っていた。なので、私の中
でも、勝手に想像が広がり、霊安室のような薄暗く、冷たい部屋で実
習を行うイメージができていた。
実際に実習を受けたのは、大学の建物の最上階。窓もあり、太陽の光
が充分に入る明るい部屋。しかも、サンジェルマンに位置するこの大
学の眺めはとても贅沢。エッフェル塔も見える。

解剖室の窓より。
今回の実習は、胸部と上腕を解剖する。
午前中と午後の2つのグループに分かれて、各グループが4時間実習を
受ける。各自準備をして、実習室へ。

室内には、ブルーのペーパシーツで全身を覆って、片腕のみを露出し
た遺体が2体。腕の感じから、明らかに片方が女性で、もう片方が
男性だとわかった。女性の方は、すでに頭部を切断されていた。
まずは、担当の講師から確認する筋肉・神経・動脈・静脈の説明。
いよいよ解剖へ。実際に解剖を行うのは2名の講師。2体の解剖を
同時に進行。


私達は2つのグループに分かれて、観察。
最初のメスを入れるときは、息を呑んで観察していたが、1時間も
するとだんだん慣れて、冷静に見れるようになった。遺体からは
70-80cmの距離で観察していたが、臭いも特に気にならなか
った。耳にしたのは内臓を解剖した時の経験だったのかも。観察
に入って、男性の遺体は、かなり体格がよく、筋肉にも張りがあり
神経などはギターの弦の様に弾力と張りがあった。一方、女性の
方は年配の方らしく筋肉の張りや、脂肪層など対照的だった。
実際に解剖の教科書に掲載されているのは、一つの例で、人間の
身体の詳細には個人差があるのを実感した。
解剖実習に参加するにあたっては、いろいろ考えることもあった。
オステオパシーは、わかりやすく言えば、整体の一種。手術をする
こともなければ、注射をうったり化学的な処置をすることもない。
映像も発達ているので、ビデオなどで体内を観察することもでき
る。果たして、本当に解剖実習する必要があるのか。しかし、実際
にこの実習を終えてやはり、本物を見ることの大切さを実感した。
でも、いつか自分の身体の機能が止まったとき、この人たちのよう
に自分の身体を提供できるのか。友達に話したら、”死んじゃった
ら、ただの肉の塊だよ。使ってもらっていいんじゃないか。”
by miyucat910
| 2010-10-28 23:55
| 学校生活